169: X-Pro3の魔力にやられてしまった。

X-Pro3。富士フイルムが世に放ったわけのわからんカメラ。

 今までそれなりにフジのカメラを使ってきたが、X-Pro3はこれまでのどのカメラよりも完成されているように思う。他とは全く異なり、これでもかというほどしっくりきてしまう。このカメラのどこが魅力的なのか、自分なりにまとめてみようと思う。これからX-Pro3を手にしようか悩んでいる人にも、沼に浸かる後押しができれば嬉しい。

 

 

 X-Pro3の素晴らしい所は、この機械を持て、持ち運べ、この機械で撮影しろと、強烈に誘惑してくることだ。その魅力、魔力は、このカメラの外観からも、機構からも、隠し切れないほど漏れ出ている。無駄を省いて、無駄を足す富士フイルムのバランス感覚が、工夫が、素晴らしいのだ。

 

 

 まずは外観から。正面から見ると、ライカ、というよりはTX-1から地続きの雰囲気があるように思える。レンジファインダーと2つのレバー、斜めに抉られた右肩に並ぶレリーズボタンとダイヤル。何故、現代においてこのような装備が必要なのだろうか。(ほぼ)1つのボタン、1つのダイヤル、1つのレバーに1つの機能が割り当てられているため、直感的に操作することができる。むしろ、現代的なモードダイヤルやショートカットボタンでは撮影が味気なく感じてしまうのだ。シャッタースピードダイヤル外周を持ち上げて回す感度ダイヤルは、風情がありつつも独立したダイヤルとして分かりやすい。

 

 

 背面には液晶画面が見えず、フィルム時代のメモホルダーのようなものがある。これは電源OFF時も表示を続けるメモリー液晶で、他システムカメラでは主に右肩に配置されているサブ液晶と同様の役割を持つ。他システムと異なるのは、表示方式を”クラシック”にするとフィルムシミュレーションの銘柄イラスト、感度、ホワイトバランスのみを表示して、さながらメモホルダーそのものの見た目になることだ。メイン液晶は折り畳まれた内側にあり、撮影後すぐに確認する、デジタルカメラの利点を敢えて弱くしてあるが。自分は元々画面を殆ど使わないので、見た目が数段格好良くなる良い仕様だと感じた。また、過去のX-Proシリーズと比較して操作ボタンが減らされており、見た目をすっきりさせているが操作感は劣っていない。

 

 使用感はどうなのかというと当然素晴らしく、レンジファインダーなのでスナップ撮影にとても向いていて、それでいて物撮りや望遠が苦手ということも無い。X-Pro3のファインダーには光学ファインダー(OVF)、電子ファインダー(EVF)、電子レンジファインダー(ERF)の3種類が内蔵されており、前面上のレバーで必要に応じて切り替える。ERFというのはOVFとEVFのいいところ取りのような方式で、OVFの右下隅に小型のEVFが現われ、撮影する部分の中央部や全体像を確認できるようになっている。そのため電子接点やコロ等の伝達方法を持たないMFレンズでも正確なピント合わせができるのだ。OVFだからこそ感じ取れるその場の空気感を感じつつ、ERFでピントを追い込むことができる。

 そしてシャッターを押し込むと、確かなクリック感とともに締まったシャッター音、振動を感じる。撮影した画像は確認せず、次の被写体へと集中させてくれる。どうしても見たいのなら、再生ボタンを押せばEVFがせり出してきて、画像を確認させてくれる。

 

 X-Pro3は、間違いなく写真体験を楽しくさせてくれる機械だ。いつでも持ち歩き、ふとした瞬間に構える気力を持たせ続けてくれる。撮影を楽しむために、少し不便に思えるような仕様を採用しているけれど、しんどい時にはしっかり補助もしてくれる優しさもある。

 この見た目にビビっと来たけれど、モードダイヤルがないことに身構えてしまっている人は、是非店頭で触って、弄って、連れ帰ってみてはどうだろうか。