カメラやレンズとの出会いは偶然、運命のようにとは聞く。確かにそうかもしれないと思える出来事があった。
以前迎えたD200はCCDの濃密な色以外の部分があまりしっくりとは来ず、ちょうど親が欲しがっていたので譲ったのだが、そのD200用にいい広角がないか探してと頼まれてた。
そこで探していたのだが、手頃な価格で広角(35mm判換算24mmあたり)となると、選択肢が少ない。キヤノン機時代に使ったトキナーのATX17/3.5は良い描写だけれど高いし。それならとATX12-24/4を色々なところで探していると、レンズとボディがセットで破格だった。そうして迎えたのが本文の主人公である、こいつ。
いや、デカすぎ。この前までカメラは小さい方がいいとか言っていた人間の導入する機材じゃない。
富士フイルム FinePix S3 Pro。縦位置グリップ一体型のデジタル一眼レフ。でも、こいつはただデカいだけじゃない。後ろから、横から見てほしい、面白いから。
なんとも不格好な出っ張り方をしている。
このカメラはニコンF80の金型をベースに、富士フイルムがデジタルカメラに造りなおしたというなんともイカしたカメラ。見た目だけじゃなく、挙動も面白い。
なんとこのカメラ、恐らくではあるけれどF60の軍艦部の回路はそのままにデジタルバック的にデジカメ部分を付け足していると思われる。再生中やバッテリー放電中といった露出を測る必要のないタイミングでも、TTL露出計が計測を続けているような挙動をする。まさに「ニコイチ」なカメラで可愛げがある。
見た目もF80の後方と下方を雑に盛って電子化したようにしか見えないし、とてもアンバランスで好み。
正直とてもデカいのでATX12-24/4などという更に巨大化する広角ズームレンズなど付ける気にならず、レンズは小型なやつがいいなと思案(もう写真出てるけど)…そこで記憶カメラさんが縦グリップ付きのPentax K10Dに銀色のFA43/1.9を装着しているのを見て、ビビっときてしまった。ちょうど近くのカメラ店に在庫があることを知ってしまっているので、迎えに行くしかない。という流れでAI45/2.8Pの銀を導入。デカいカメラに極薄のパンケーキ、おまけに銀色ってかわいいね。
正面。お迎えした個体は純正フードが欠品で、そのままでもいいかと思っていたけどあまりの薄さにガラスを触ってしまいそう。代わりに52-V37ステップダウンリングのアルマイトを落として、フジツボフードもどきにしてみた。ケラレもないし、前玉の小ささが目立たずいい具合。
薄さはこの通り。フィルター、フードをなくせば凸凹のある面までしかレンズがない極薄設計。どでかいボディにニッコール最小のレンズ、いいじゃん。
描写と操作性は、流石ニッコール。まだお見せできるような作例を撮っていないけど、いつでも付けていたくなるようなレンズであることは間違いない。これからたくさん撮っていこう。
あべこべなフジのカメラで、撮っていこう。